国の難病対策の根幹をなす特定医療費受給者証は、指定難病に罹患し重症度分類等の基準を満たした患者に対して交付されます。制度の主眼は、所得階層に応じて月々の指定難病 医療費自己負担上限額を2,500円から30,000円の範囲に抑え、患者世帯の経済的破綻を防ぐことにあります。多くの患者が「病院や調剤薬局で上限管理票に判子をもらうための証明書」として認識している実情があります。
しかし、難病法(難病の患者に対する医療費等に関する法律)が施行されて以降、企業の社会的責任(CSR)やアクセシビリティ向上の観点から、受給者証を「障害者手帳と同等の社会的配慮を要する公的証明」と位置づける民間企業や自治体が着実に増加してきました。毎月の通信固定費を引き下げる大手キャリアの専用プラン、心身のリフレッシュを支援する文化施設・レジャー施設の入場料免除、さらには市区町村が独自財源で支給する給付金まで、その支援領域は日常生活の広範囲に及んでいます。
注意すべきは、これらの制度が一元管理されておらず、窓口ごとの個別対応に委ねられている点です。行政機関から「受給者証が届いたので、こちらの割引も使えます」といった親切な案内状が届くことはまずありません。知っている人だけが恩恵を受け、知らない人は年間で数十万円規模の支援を受け皿からこぼしているという残酷な現実が存在します。