「妾」のめかけとわらわは何が違う?同じ漢字を使う理由と身分の序列

「妾」のめかけとわらわは何が違う?同じ漢字を使う理由と身分の序列

「妾」のめかけとわらわは何が違う?同じ漢字を使う理由と身分の序列について押さえておきたい ポイントを厳選して解説いたします。

歴史劇や家系図を調査する際、多くの人が混同しやすいのが「本妻」「側室」「妾」「愛人」の身分差です。これらは時代によって法的・制度的な位置づけが明確に異なっていました。

武家社会や公家社会における身分の序列は極めて厳格であり、感情ではなく「家の存続」という政治目的によって線引きがなされていました。

区分歴史上の法的地位・位置づけ生活実態・公認度現代法における評価本妻(正妻・嫡妻)家同士の契約による唯一の正配偶者。大名家では幕府への届出が必要。奥向きの最高権力者。嫡男の母としての絶対的地位。民法上の正式な配偶者(法定相続分1/2、同居・扶助義務)。側室武家・皇室等の公認制度。家督継承(跡継ぎ確保)のための公式な補佐機関。屋敷内に居住。生んだ子は本妻の子(嫡子)として育てられる。現行法には存在しない(皇室典範でも側室制度は完全に廃止)。妾(めかけ)私的な関係。明治初期(1870〜1882年)のみ「二親等」として戸籍に記載。別宅で囲われるケースが多く、経済的援助と性的関係が前提。法的には「不貞相手(不倫関係)」。公的な身分は一切認められない。愛人制度外の純粋な私的関係。昭和以降に一般化した概念。公認の前提はなく、当事者間の合意による隠匿された関係。共同不法行為者として正妻への慰謝料支払い義務(損害賠償請求の対象)。

日本史における序列の頂点は当然ながら「本妻」です。これに次ぐ「側室」は、武家社会において極めて高度な政治的役割を担っていました。大名家において世継ぎが途絶えることはお家取り潰しを意味するため、側室を持つことは当主の義務に近い側面を持っていたのです。

重要なのは、側室が生んだ子は「本妻の子」として育てられたという点です。側室自身はどれほど当主に愛され、次期藩主の生母となったとしても、身分上は奥女中の一人にとどまり、公式の席では本妻に平伏する立場にありました。

これに対し、「妾」はより私的・経済的な関係です。江戸時代の町人文化や豪商に見られたように、本邸とは別の長屋や離れ屋敷に囲い、手当を支給して囲い者とする形態が典型でした。公的な家督継承の役割を負う側室に対し、妾はあくまで個人の財力と嗜好に基づく関係という決定的な違いがありました。

井上 凛
著者

井上 凛

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。