メル画の爆発的普及を語るうえで外せないのが、当時のアラサー懐かしのネット文化を牽引した「魔法のiらんど」や「フォレストページ」に代表される無料ホームページ作成サービスです。
当時の中高生オタク女子の間では、主人公の名前を自分の名前に変換して物語に没入する「ガラケー夢小説」が爆発的な支持を集めていました。携帯小説サイトのトップページには、自己紹介ツールである「前略プロフィール」へのリンクが貼られ、訪問者は「同盟」と呼ばれるバナーリンク集を伝って、無数に存在するアンダーグラウンドな個人サイトを行き来していたのです。
そうしたテキスト主体の夢小説サイトにおいて、読者の想像力を補完する視覚的なキラーコンテンツとして機能したのがメル画でした。「放課後の部室で告白された」「冷酷なキャラクターが自分にだけ見せる甘い一面」といったシチュエーションが、1枚のメール受信画面に凝縮されていたのです。サイト管理人が自作したメル画は「フリー配布」として公開され、閲覧者はそれを自分の端末に保存して密かに楽しむというエコシステムが完璧に成立していました。