瞬間接着剤を取り扱う際、最も頻発するトラブルが「指同士の固着」や「皮膚への付着」です。東亞合成などの接着剤メーカーが公表している技術資料によると、瞬間接着剤の主原料であるシアノアクリレートは、空気中や皮膚表面に微量に存在する水分(水酸化物イオン)に触れることで瞬時に化学反応(重合)を起こし、硬化する性質を持っています。
人間の皮膚表面には目に見えない微小な凹凸(皮溝・皮丘)が存在し、そこへ液状の接着剤が毛細管現象によって入り込んだまま硬化します。そのため、皮膚と接着剤が強固なアンカー効果で一体化し、接着剤が皮膚から剥がれない理由となります。驚いて力任せに引き剥がそうとすると、角質層だけでなく真皮まで巻き込んで皮膚を裂いてしまい、出血や細菌感染を招く恐れがあります。
指がくっついてしまった場合の第一選択は、接着剤をお湯で剥がす方法です。洗面器に40〜42℃前後のぬるま湯を張り、石鹸を泡立てて指を浸します。数分間浸していると、皮膚の角質から汗や皮脂が分泌され、接着剤の界面が徐々に浮き上がってきます。指同士を無理に引き離すのではなく、お風呂の中で石鹸の泡を滑り込ませるようにして、指の腹同士を前後に優しくスライド(揉みほぐし)させるのがコツです。
お湯だけで取れにくい頑固な付着には、アロンアルフアの指への付着をはじめとする瞬間接着剤全般に対して、薬局や100円ショップで購入できる「除光液」が有効です。除光液に含まれるアセトンという有機溶剤がシアノアクリレートの結合を分解します。ただし、近年のネイルポリッシュリムーバーには「ノンアセトン」処方の製品も多いため、成分表にアセトンが明記されているか確認が必要です。コットンにアセトンをたっぷり含ませ、付着部分に押し当てて数分待つと、接着剤がゼリー状に軟化してポロポロと剥がれ落ちます。