ここ数年の日本の住宅トレンドを振り返ると、極限までノイズを削ぎ落としたモノトーン空間や、プロ仕様を模したフルステンレスキッチンが席巻していた。だが、急速に進んだリモートワークやデジタル化の反動として、人々が自宅に求めたのは「触覚的な癒やし」と「圧倒的な自然の気配」だった。
目が覚めるようなハイテク家電が整然と並ぶ空間に、あえて荒々しくも妖艶な栃の無垢材をドンと据える。この大胆なコントラストこそが、いま最も洗練されたインテリアのアプローチと見なされている。工業製品には決して真似のできない、一本ごとに全く異なる耳(樹皮部分)の起伏が、無機質になりがちな現代住宅に生命力を吹き込んでいる。