インターネット上で「鳥の詩 なぜ国歌」と検索される現象は、単なる一過性の流行ではありません。2000年代初頭、2ちゃんねる(現5ch)の「 leaf,key掲示板(通称:葉鍵板)」やアニソン関連スレッドにおいて、ファンが敬意と親しみを込めて「我らの国歌」と呼び始めたのが直接の発端です。当時、美少女ゲームの文脈を超えてクオリティの高さが一般の音楽ファンへ波及し、オフ会やライブイベントで合唱される光景が日常化していきました。
関係者の回想録や当時の音楽雑誌のインタビューによると、ボーカルを担当したLiaは当時、アメリカ・ロサンゼルスを拠点に活動していました。ゲーム音楽であることを深く意識せず、渡米してきたKeyの制作陣から手渡されたデモテープに吹き込んだボーカルトラックが、日本のサブカルチャー史を塗り替える決定打となったのです。Lia自身も後の回顧特番で「当時はこれほど長く、しかも国歌と呼ばれるほど愛される曲になるとは夢にも思っていなかった」と述懐しています。
さらに2005年、京都アニメーションの手によって『AIR』がテレビアニメ化されると、その映像美とともにオープニングテーマとして再び全国へ轟くことになります。単なるサブカルチャーの枠に留まらず、平成から令和、そして2026年に至るまで、音楽の教科書や公式オーケストラコンサートで演奏されるなど、名実ともに「時代の文化遺産」としての風格を獲得しました。