ネット上のQ&Aサイトや知恵袋などでは、子猫の性別に関して科学的根拠を欠いた俗説が散見されます。誤った情報に惑わされて愛猫の性別を誤認したり、体を痛めてしまったりするトラブルを防ぐため、代表的な3つの誤解を正しておきましょう。
第一の誤解は、「お腹に乳首があるからメスである」という思い込みです。これは完全な誤りであり、オス猫にも生まれつき8個前後の乳首が存在します。人間と同様、乳腺と乳頭は胎児期において性分化が起こる前の初期段階で形成されるため、性別に関係なくすべての猫に備わっています。乳首の有無で性別を判断することは不可能です。
第二の誤解は、「顔つきや鼻の大きさで見分ける」という手法です。確かに未去勢の成猫のオスは、テストステロン(男性ホルモン)の影響で頬の皮下組織が発達し、いわゆる「スタッドチーク(丸く張った大きな顔盤)」を形成します。しかし、生後数ヶ月の子猫の段階では骨格や筋肉の性差はほぼ皆無です。子猫の顔の輪郭や目鼻立ちからオス・メスを断定することは獣医学的にできません。
第三の盲点は、「性別を確認しようと無理な体勢を取らせる危険性」です。生後間もない子猫は体温調節機能が未熟であり、母猫から引き離して仰向けに寝かせたり、お尻の皮膚を強く引っ張ったりする行為は、低体温症や消化管へのストレスを引き起こします。また、長時間人間の皮脂や匂いが子猫に移ることで、母猫が育児放棄(ネグレクト)を起こす引き金にもなりかねません。確認作業は暖房の効いた室内で、手指を消毒したうえで短時間で完了させるのが鉄則です。