日本のチョコスナック界において、絶対的な二大巨頭として君臨し続けてきたのがきのこの山とたけのこの里だ。しかし、1980年代後半、この強固な陣営に第3の村として彗星のごとく殴り込みをかけたのが、杉の木をモチーフにした個性派スナックだった。サクサクとした棒状のビスケットに香ばしいアーモンドと甘美なミルクチョコレートをまとわせたその造形は、瞬く間に子供たちの心を掴んだ。
それにもかかわらず、なぜ市場から姿を消さざるを得なかったのか。当時のバブル景気の終焉、多様化する消費者の嗜好、そして二大看板商品の厚い壁。幾重もの要因が重なり、ラインナップ整理の波に飲まれる形で惜しまれつつ生産終了へと追い込まれた。だが、その完璧な味のバランスと愛くるしいパッケージデザインは、消滅後も「幻のヒット商品」として語り草となり、人々の記憶に強く刻まれ続けることとなった。