「いやさか」の響きは、厳かな神事の場だけに閉じ閉じ込められているわけではない。現代日本社会のさまざまな場面で、この祝福のコールは力強く響き渡っている。
全国の神社を包括する神社本庁の儀礼や関連行事においては、皇室の弥栄や国の安寧、地域社会の繁栄を祈る結びの言葉として用いられる。参列者が声を揃えて発する「イヤサカ」の声は、会場全体の空気を一瞬で引き締め、共通の祈りをひとつに束ねる力を持つ。
一方で、青少年育成組織であるボーイスカウト日本連盟の活動においても、「イヤサカ」は象徴的な祝声(エール)として受け継がれている。スカウト活動での表彰や歓送の場面で送られるこの声援は、相手の健闘を称え、今後のさらなる飛躍を願う意味が込められた伝統的な儀礼だ。宗教的枠組みを超えて、他者の繁栄を純粋に祝うポジティブな行動様式として今なお息づいている。