世界のゲイシーンにおいて「Bear(ベア)」といえば、屈強な体躯に濃い体毛を蓄えた無骨な男性像を指すのが長年の標準であった。しかし、日本発のジャパニーズゲイベアコミュニティが提示した像は、それらとは明確に異なる魅力を放っている。
1990年代に創刊された『G-men』や『Badi』といった雑誌メディア、さらには同人コミックなどを通じて醸成された日本の熊系表現は、ふくよかさの中に男らしさと愛嬌が同居する独特のスタイルを築き上げた。海外の当事者やファンからは「がっしりした体つきでありながら、どこか温和でチャーミング」「清潔感とマスキュリニティ(男性性)のバランスが秀逸」と極めて高い評価を得ている。
東京・新宿二丁目のバーカウンターで海外からの旅行者に話を聞くと、異口同音にこう語る。「欧米のベアコミュニティは時として威圧的だが、日本の熊系カルチャーにはどこか包容力と可愛らしさがある。この絶妙なバランスは日本独自のカルチャーだ」。このオリジナリティこそが、日本 ゲイベア カルチャーが世界的な熱狂を巻き起こし続ける根源的な理由である。