株元から顔を出した新芽を見つめ、期待と疑念が交錯する時間は園芸の醍醐味でもあり、最大のストレス源でもあります。胡蝶蘭の花芽と根の見分け方には、植物解剖学に基づいた明確な指標が存在します。出始めの数ミリの段階では識別が困難に思えますが、5ミリから1センチほど伸長した時点で、その性質の違いは外見に如実に現れます。
最大の手がかりは「先端のディテール」です。胡蝶蘭の根は、先端が丸みを帯びており、みずみずしい緑褐色や黄緑色をしたキャップ(根冠)に覆われています。質感は滑らかで、光沢感を伴うのが特徴です。一方、待望の花芽は先端がやや平らにつぶれたような形、あるいはスプーンやグローブのような形状をしており、よく観察するとタケノコのように鱗片が重なり合っています。
さらに見過ごせないのが「生えてくる位置と方向」です。根は上下左右を問わず、葉の基部を突き破って不規則に伸び出しますが、花芽は基本的に葉の付け根(葉腋)の直上から、太陽の光を求めて斜め上あるいは垂直方向に向かって規則的に伸び上がります。また、中心部の天頂から展開するものは胡蝶蘭の花芽と葉芽の違いとして整理でき、中央から平たい組織が立ち上がる場合は新葉(葉芽)です。