フィリピンでのコミュニケーションにおいて、単語の暗記以上に決定的な役割を果たすのがフィリピンの挨拶マナーです。南国の開放的なイメージが先行しがちですが、フィリピン社会は家族観と年長者への敬意を極めて重んじる文化を持っています。
第一に押さえるべきは、前述の敬語助詞「Po(ポ)」と、丁寧な相槌・肯定を表す「Opo(オポ=はい)」の存在です。英語の「Sir / Ma'am(サー/マム)」と同様に、タクシーの運転手やレストランのウェイター、年上の知人と話す際には、文末に「po」を添えるだけで相手へのリスペクトが明確に伝わります。これを省略してタメ口のように話すと、傲慢な印象を与えてしまうリスクがあります。
さらに伝統的な最上級の挨拶儀礼として知られるのが「Mano po(マノ・ポ)」です。これは若者が親、祖父母、年配の親族に挨拶をする際、相手の右手を取り、自分の額にそっと当てる動作を指します。「Mano」はスペイン語の「手」に由来し、年長者からの祝福(Blessing)を授かる神聖な行為とされています。外国人が家庭に招かれた際にこの作法を理解していると、家族全体から深い敬意と歓迎を受けることになります。