『おジャ魔女どれみ』から『プリキュア』へのバトンタッチは、実は平坦な一本道ではありませんでした。どれみシリーズが2003年1月に『おジャ魔女どれみドッカ~ン!』で有終の美を飾った後、後番組として投入されたのが世界名作劇場風の壮大なヨーロッパ大河ロマンを描いた『明日のナージャ』です。
『明日のナージャ』は重厚なストーリーと高い芸術性で熱心なファンを獲得したものの、玩具売上やメインターゲット層へのアプローチという商業面で非常に厳しい現実に直面しました。この緊急事態を受け、東映アニメーションとバンダイは「これまでの少女向けアニメのフォーマットを一度完全に解体し、まったく新しいヒロインを生み出す」という大改革に踏み切ります。
こうして初代プロデューサーの鷲尾天氏と『ドラゴンボール』などを手掛けてきた西尾大介監督によって生み出されたのが、2004年の『ふたりはプリキュア』でした。魔法のステッキで奇跡を起こすのではなく、拳と足技で真っ向から立ち向かう「黒と白」のヒロイン像は、ナージャの苦戦という危機が生んだ起死回生のイノベーションだったのです。