代理母出産を巡るリスクは、医療的・金銭的なものにとどまりません。近年の国際情勢の変化により、予期せぬ地政学リスクが顕在化しています。
かつて安価で質の高い医療を提供することで欧米や日本から多くの依頼者を集めていたウクライナでは、ロシアによる軍事侵攻以降、地下シェルターでの出産や依頼親が現地へ迎えに行けない事態が相次ぎました。政情不安や法改正によって、契約途中でのプログラム中断、新生児の出国遅延、最悪の場合は国籍が確定しないまま無国籍状態に陥るリスクが存在します。
さらに、仲介エージェントの倒産や詐欺的な契約トラブル、現地医療機関での複数胚移植による多胎妊娠・重度障害発生時の責任の所在など、国境をまたぐ取引ゆえの法的保護の脆弱性には細心の注意を払わなければなりません。