「紙の台本を手渡されてセリフを覚えたことは一度もない」——かつてファイトクラブのリングに上がった元生たちの証言は、概ねこの点において一致している。しかし、それは完全な無演出を意味するわけではない。制作側からの「もっと睨みつけろ」「ここで掴みかかれ」といった口頭での示唆や、特定のキャラクターを強調する過剰な煽り映像は日常茶飯事だった。
番組が求めたのは、純粋な競技としてのスポーツではない。視聴者の感情を強く揺さぶるエンターテインメント性だ。スタッフによる心理的な誘導と、カメラを意識した若者たちの自己プロデュース能力が交錯した結果、現実を超えた強烈な人間ドラマが画面上に立ち現れていたのである。