香港マフィアを語る上で欠かせないのが「三合会(英名:トライアード)」の存在です。映画の世界では、激しい銃撃戦や裏切り、悲壮感あふれる男たちの美学として描かれがちですが、香港マフィア 三合会 実態は極めてドライで計算高い経済的互助組織、あるいは犯罪複合体としての性格を帯びています。
三合会の起源は、17世紀の清朝初期に興った反清復明を掲げる秘密結社「天地会」に遡ります。かつては民族主義的な思想や義兄弟の掟を重視する結社でしたが、19世紀のアヘン戦争を経て香港がイギリスの植民地となる過程で、貧困層の相互扶助ネットワークや港湾労働者の自衛組織へと変容しました。これが香港トライアード 歴史の大きな転換点です。やがて利権の拡大とともに、賭博、売春、阿片密売といった地下経済を掌握する犯罪組織へと堕ちていきました。
1960年代から70年代にかけて、香港警察内部に汚職が蔓延していた時代、警察上層部とマフィア幹部が結託して歓楽街の利権を山分けする「官民癒着」の構造が完成しました。元組織幹部が警察の取り調べや自著で語ったところによれば、「当時の香港では、警官のバッジと組織の代紋は同じ財布から小遣いを得ていた」と証言されるほど、公権力と裏社会は分かちがたく結びついていたのです。1974年に汚職取締専門の独立機関「廉政公署(ICAC)」が設立されたことで警察内の組織的腐敗は一掃されましたが、三合会そのものは地下に深く潜行し、生命線を維持し続けました。