「木」単体と、部首としての「木偏(きへん)」では、筆順と字形ルールが決定的に異なる点に注意しなければならない。林、村、枝、校など、日常で目にする膨大な漢字に木偏が使われている。
木偏を書く際、第4画は「右払い」ではなく「止め(点)」に変化する。これは次に右側へ続く旁(つくり)のために空間を譲る「譲歩の美徳」と呼ばれる伝統的な筆法だ。右払いを長く伸ばしてしまうと、旁と衝突して文字全体が散漫になってしまう。
公益財団法人日本漢字能力検定協会(漢検)の採点基準においても、木偏の第4画を払っているか止めているか、縦画がしっかり第1画の中央を右寄りに抜けているかといった細部が注視される。単体の「木」では左右対称に近い広がりを持たせ、偏の「木」では右側をスパッと切り落とす。この切り替えができるかどうかが、文字の教養を測る試金石となる。