2026年代前半に巻き起こったレトロブームは、2026年を迎えた現在、より本質的な「体験」へと進化した。作られた昭和風カフェやフェイクのネオン酒場に飽きた若い世代が求めたのは、本物の生活感と手触り感だったのだ。
InstagramやTikTokで拡散されるのは、きれいに盛り付けられたスイーツではなく、強火のバーナーで一気にパラパラに仕上げられるチャーハンの調理風景だ。鉄鍋の縁から立ち上る煙、小気味よく響くおたまの音。動画の向こうから香りが漂ってきそうなほどの臨場感に、デジタルネイティブの若者たちが心を奪われている。
「チェーン店の均一な味も悪くないけれど、ここには店主の息遣いがある。料理が生きている感じがするんです」。カウンターの端で熱々の餃子を頬張る20代の大学生は、目を輝かせながらそう語った。