日本のアニメ・漫画文化における魅力的な悪役の基盤は、長年にわたり王道を突き走ってきた「少年漫画」の歴史によって築かれた。特に『週刊少年ジャンプ』を擁する集英社の作品群は、時代を超えて語り継がれる悪のカリスマを次々と輩出している。
故・鳥山明氏が生み出した『ドラゴンボール』のフリーザやセルは、圧倒的な絶望感と同時に、洗練された気品や圧倒的な佇まいを放っていた。宇宙の帝王としての優雅さと、容赦のない冷徹さのギャップは、今なお世界中のファンの記憶に刻まれている。
一方で、荒木飛呂彦氏が描く『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズの悪役描写は、悪の美学におけるひとつの到達点と言える。DIOが纏う妖艶かつ圧倒的な王の風格、あるいは吉良吉影が胸に秘める「平穏に生きたい」という奇妙で純粋なエゴイズム。荒木氏の手によって描かれる悪役たちは、独自の哲学と倫理観を持ち、読者を不可解で魅力的な世界観へと惹きつけ続けている。