ネット中継への移行が進むなか、熱烈なバレーボール愛好者やライト層の間ではどのような受容と葛藤が生じているのでしょうか。オンラインコミュニティや取材現場から集まる生の声には、現代スポーツ観戦のリアルな分断が浮き彫りになっています。
「昔は実家のリビングで家族全員でタオマフを回しながら応援していた。今は自室でスマホやPCを開いて課金ログインしないと1本のアタックも見られない。時代の波だと分かっていても、ライトな同僚に『昨日バレー見た?』と気軽に言えなくなったのが寂しい」(30代会社員・Xの投稿より)。
一方、ヘビー層や戦術研究を好むファンからは劇的な歓迎の声が上がっています。「TBSの中継はジャニーズのアイドル演出や過剰な煽りVTR、ラリー中のタレントのワイプ抜きが多くてストレスだった。動画配信は試合前の練習風景からタイムアウト中の監督の肉声指示、世界ランキング上位国の好カードまでノーカットでじっくり没入できる」(40代バレー経験者)。
しかし現場の日本代表選手たちの胸中には、複雑な影も差しています。過去の特番インタビューにおいて主将・石川祐希選手が「地上波で放送されないことで、子どもたちがバレーに触れる最初のきっかけが失われないかという危機感は常に持っている」と率直に胸の内を明かした場面がありました。世界トップレベルの環境に身を置くからこそ、メディア露出の縮小が競技ピラミッドの底辺に与える長期的ダメージを誰よりも危惧しているのです。