ふたりの結婚生活に決定的な終止符を打つ原因となったのが、江利チエミの異父姉によるトラブルでした。チエミが幼少期に生き別れ、スターになってから名乗り出てきたこの異父姉は、チエミの信頼を得て家政婦兼個人マネージャーのような立場で家庭内に入り込みました。
しかし異父姉は、チエミの実印や銀行通帳、不動産の権利証を無断で持ち出し、チエミ名義で手形を乱発して巨額の借金を重ねていました。さらに、親族や高倉健の財産にも被害を及ぼすばかりか、高倉家に対して中傷や虚偽の情報を吹き込み、夫婦の仲を引き裂くための悪質な離間工作(怪文書の送付など)を仕掛けていたのです。
発覚した被害総額は、当時の貨幣価値で3億円以上という天文学的な数字でした。自身の血縁者が夫である高倉健の資産や名誉まで脅かしてしまったことに、チエミは激しい自責の念に苛まれました。「これ以上、健さんに迷惑をかけるわけにはいかない」と心に決めたチエミは、自ら離婚を申し出ました。高倉健は最後まで離婚を思いとどまらせようと説得を試みましたが、チエミの決意は揺るがず、1971年9月にふたりの婚姻関係は解消されることとなりました。