海を渡ったメジャーリーグベースボールでも、指名打者制度の扱いは歴史的な変遷をたどってきた。かつてはアメリカン・リーグのみで採用されていたが、2022年からはナショナル・リーグでも導入され、両リーグで完全にルールが統一された。この歴史的転換の背景には、観客を魅了する打撃戦への需要と、高額な年俸を誇る投手を故障リスクから守る球団経営上の狙いがあった。
そして、この制度の概念を根底から揺るがしたのが大谷翔平の存在だ。先発投手としてマウンドに上がりながら、同時にDHとして打席に立ち続ける「二刀流」を成立させるため、MLBは通称「大谷ルール」と呼ばれる特例規定を新設。投手を降りた後も指名打者として試合に残り続けられる仕組みが整備された。一人の規格外の才能が、100年以上続く野球の公式ルールを直接動かした歴史的瞬間だった。