大手SNS(X、Instagram)やネット掲示板、知恵袋などのコミュニティでは、初詣シーズンを迎えるたびにおみくじの引き直しをめぐる悲喜こもごもの声が溢れ返ります。おみくじネットの反応を定性的に調査すると、参拝者が引き直しに至る生々しい動機と、その後の複雑な心理状態が浮かび上がってきます。
「正月の初詣で『凶』を引いてしまい、同行していた恋人の前でどうしてもカッコがつかず、別の列に並び直してもう1回引きました。結果はなんと『大凶』。恥ずかしさと絶望で頭が真っ白になり、最初に出ていた凶の言葉を真面目に読んでおけばよかったと猛烈に後悔しました」(20代男性・会社員・SNS投稿より)
「転職活動の先行きが不安で、学問と仕事運で有名な神社へ。1回目は『現状維持に徹すべし』という末吉。納得できず、境内のお稲荷様の前にあるおみくじを引いたら『思い切って前進すべし。勝機あり』という大吉でした。正反対のメッセージが出て余計に混乱し、結局どっちを信じればいいのか分からなくなって数日間ノイローゼ気味になりました」(30代女性・知恵袋の相談手記より)
ネット上の投稿を精査すると、おみくじ何回も引く理由の根底にあるのは「将来への強い不安」と「自己肯定感を保ちたいという防衛機制」です。人間は自分にとって受け入れがたい情報に直面した際、それを無効化するための別の証拠を躍起になって探そうとします。しかし、ネットの反応で極めて特徴的なのは、「連続で引き直して良い結果が出たとしても、最初の悪い結果が頭の片隅に残り続けてスッキリしなかった」という声が半数近くを占める点です。
一方で、「1回目の警告を心に刻んだ上で、お守り代わりに2回目を引いて手帳に挟んでいる」「異なる悩みを1回ずつ念じ分けて引いたので、すっきりと整理がついた」という前向きな活用例も散見されます。引き直しそのものの是非よりも、その動機が「不安からの逃避」なのか「真摯な問い直しの深掘り」なのかによって、引いた後の後味は決定的に分かれています。