サイゼリヤが他社の追随を許さない低価格を実現できる最大の理由は、アパレル大手のユニクロ(ファーストリテイリング)などと同様の「製造直販(SPA)モデル」を外食産業でいち早く確立した点にあります。一般的な外食企業は、生産者、商社、食品加工工場、卸売業者など複数の仲介業者を経て食材を店舗に仕入れますが、サイゼリヤは原材料の調達から最終的な提供までを自社グループ内で完結させています。
「なぜ値上げしないのか」という疑問に対し、創業者である正垣泰彦会長は自著や講演において「価格は企業が決めるものではなく、お客様の日常的な予算感で決まるもの」という一貫した哲学を語っています。単に価格を据え置くのではなく、コストが上がればその分だけオペレーションの無駄を徹底的に排除し、業務効率を極限まで高めることでコスト上昇分を吸収する構造を作り上げてきました。
その結果として機能している「儲かる仕組み」の要諦は、「高原価率×圧倒的な回転率」の相乗効果です。利益率を個々のメニューから無理に搾り取るのではなく、誰もが気軽に毎日通える価格帯に設定することで高い客数を呼び込み、店舗全体の回転数を最大化して総利益を積み上げるという、極めて強固な薄利多売のビジネスモデルが成立しています。