冨手麻妙の原点を語る上で外せないのが、AKB48第8期研究生としての挫折経験です。2009年、15歳でアイドル界の最高峰に足を踏み入れたものの、熾烈な競争やセレクション審査の壁に直面し、志半ばでグループを離れることになりました。「かわいいアイドル」としての挫折は、彼女の中に「生半可な覚悟では芸能界で生き残れない」という強烈な飢餓感を植え付ける決定打となります。
女優へと舵を切った彼女が選んだのは、万人受けする王道ルートではなく、人間の生々しい感情や狂気をむき出しにするインディペンデント映画の世界でした。当時のインタビューや公式取材で彼女は、「脱ぐこと自体が目的ではなく、その役に血を通わせるために衣服を脱ぎ捨てる必要があるなら、そこに一切の躊躇はない」という趣旨の覚悟を一貫して語っています。
「元アイドル」という肩書きは、芸能界において時に色眼鏡で見られる要因になります。冨手麻妙はそのレッテルを逆手に取り、誰よりも過酷な現場へ身を投じることで、自らの役者魂を証明していきました。