ニック・ワイルドに恋心を抱くファンが続出する最大の理由は、酸いも甘いも噛み分けた「大人の余裕」と、その奥底に隠された「傷つきやすい素顔」のコントラストにあります。初対面では飄々(ひょうひょう)とした態度でジュディを翻弄し、世の中を斜めに見た皮肉屋として振る舞いますが、物語が進むにつれて本来の誠実さと情の深さが露わになっていきます。
とりわけファンの心を締め付けるのが、幼少期に負った「過去のトラウマ」のエピソードです。少年の頃、草食動物のボーイスカウト組織「ジュニア・レンジャー・スカウト」に憧れて入隊しようとしたニックは、「肉食動物のキツネだから」という理不尽な偏見だけで口輪をはめられ、激しいいじめを受けました。「どうせキツネは信用されないなら、言われた通りのキツネになってやる」と心を閉ざし、詐欺師として生きる道を選んだ背景があります。
普段のシニカルな笑みは、二度と傷つかないためにまとった心の防具に過ぎません。その哀しい過去を知った瞬間、観客の心は一気にニックへと引き寄せられます。「自分だけは彼を理解してあげたい」「傷ついた心を包み込みたい」という母性本能と庇護欲を激しく刺激する構造こそ、大人女子がニックに本気で惚れる理由と言えます。