ベトナム語学習に取り組んだ日本人の多くが最初に覚えるのが「Xin chào(シン チャオ)」だ。これはどんな相手にも使える、最も汎用性の高い挨拶表現である。複数の語学サービスの解説によれば、「Xin(シン)」は「~してください」という丁寧さを添える助詞的な単語であり、「chào(チャオ)」が「挨拶する」という動詞にあたる。つまり「Xin chào」はやや改まった丁寧表現で、日本語で言えば「はじめまして、よろしくお願いします」のニュアンスに近い。
一方、日常生活でネイティブが頻繁に使うのが「Chào + 人称代名詞」の形だ。ハノイ在住10年以上の経験を持つ日本人ライターは自身の記録でこう述べている。「現地では『Xin chào』よりも『Chào anh(チャオ アン)』『Chào em(チャオ エム)』のように、相手に応じた人称をつけるのがずっと自然。これを知らずに『Xin chào』だけ連呼していると、どこかよそよそしい印象を与えてしまう」。この証言は、複数のベトナム語学習サイトや通訳者のコメントとも一致している。
基本的な人称代名詞と挨拶の組み合わせをまとめると以下のようになる。
このように、ベトナム語の挨拶体系は日本語の敬語構造に似た「関係性の文法」が組み込まれている。単語一つで相手への敬意と親密度を同時に表現できるのが、この言語の面白さでもある。