タンスの角や柱に足の小指を引っかけた直後、心臓の鼓動に合わせて波打つようにズキズキ痛むのはなぜでしょうか。その理由は、足の指先に網の目のように張り巡らされた高密度の知覚神経(痛覚受容器)にあります。さらに人間の二足歩行において、足の外側(第5中足骨から小指にかけてのライン)は歩行の踏み返し時に体重の約15〜20%を外側荷重として受け止める重要な支持基底面を構成しています。そのため、わずか数ミリの微小な損傷であっても、一歩踏み出すたびに全体重に近い負荷が患部へダイレクトに集中し、激しい痛みを誘発する構造になっています。
単なる打撲であれば、受傷直後のアイシングによって24時間から48時間程度で痛みのピークを越えるのが一般的です。しかし、次のような症状が見られる場合は、足の小指骨折または骨にヒビが入った不全骨折を強く疑う必要があります。
第一のサインは、「受傷後数時間で小指全体から足の甲の外側にかけて広がる濃い紫色の皮下出血(内出血)」です。骨を包む骨膜には豊富な血管が走っており、骨が損傷すると多量の出血が組織内に染み出します。第二に、「指の軸方向に沿って軽く圧迫したときに骨の芯に響くような激痛(軸圧痛)」が走ること。そして第三に、「足の指を床につけて自力で体重を支えられない歩行困難」です。指が明後日の方向を向いている変形はもちろんのこと、外見上の変形がわずかであっても骨内部で亀裂が生じている事例は整形外科の外来でも日常茶飯事です。