戦争や地政学的緊張が資本主義にとっていかに巨大なビジネスであるかは、公開されている財務データや国際機関の統計に如実に表れています。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の調査資料によると、世界の総軍事費は年々過去最高を更新し続けており、2026年から2026年にかけて世界全体で年間2兆4,000億ドル(約360兆円規模)を超える水準で高止まりしています。
武器ビジネスが儲かる仕組みには、民間市場には存在しない3つの特異な構造的優位性があります。
第1に、買い手が国家に限定された独占市場である点です。国家安全保障を名目とするため、価格弾力性が極めて低く、相場より大幅に高額であっても取引が成立します。第2に、研究開発費の国費負担とコスト・プラス契約です。先端戦闘機やミサイル防衛システムの巨額開発費は政府予算から支出され、製造コストに所定の利益率を上乗せした金額で買い取られるため、民間企業のような倒産リスクを負わずに済みます。
第3に、計画的陳腐化と消費の永久循環です。ミサイルや砲弾は演習で消費されるか、実戦で破壊されることで初めて追加発注が生じます。兵器は倉庫に保管されているだけでは賞味期限を迎え、最新の迎撃技術に対抗するために絶え間ないアップグレードが要求されます。破壊と消耗こそが、軍需メーカーにとって最大の需要創出エンジンなのです。