ウェブ検索やSNS上には、爪の変色に関する誤った情報や過度な不安を煽る俗説が散見されます。無用なパニックを防ぎ、正しい医療行動をとるために、よくある3つの誤解を正します。
誤解①:爪に黒い縦線が出たら必ず皮膚がんである
実際には、皮膚科を受診する爪の黒色変化のうち、メラノーマと確定診断される割合はごく一部です。日本人のメラノーマ発症率は人口10万人あたり1〜2人程度と欧米白人に比べて低く、そのうち爪部に生じるものはさらに限られます。大半は良性の色素沈着や内出血ですので、過度に絶望する必要はありません。
誤解②:色が薄い線なら100%放置して大丈夫
「薄い茶色だから良性」と決めつけるのも危険です。メラノーマの初期病変は、極めて薄い褐色線からスタートすることがあります。重要なのは「現在の色」だけではなく、「経時的な変化の有無」です。薄い線であっても、数ヶ月単位で幅が太くなったり、色の濃淡にムラが出てきたりした場合は要注意です。
誤解③:マニキュアやジェルネイルで隠せば治る・問題ない
見た目を気にしてネイルカラーで隠し続ける行為は最も避けるべきです。病変の進行を見逃すだけでなく、ジェルネイル硬化時に使用するUVライト(紫外線)の刺激や、除光液による爪甲・爪母への化学的刺激が病変部に悪影響を及ぼす懸念があります。爪の変色に気づいたら、ネイルアートは一時中断し、素爪の状態で変化を観察してください。