近年、医療現場で警鐘が鳴らされているのが、「熱が出ないインフルエンザB型」による感染拡大です。発熱が37度前後の微熱にとどまり、激しい悪寒もないため、本人が「少しお腹を壊した風邪」「ただの疲れ」と思い込んで通常通り通勤や登校を続けてしまうケースが多発しています。
なぜB型では熱が出にくい現象が起きるのでしょうか。その理由は、ウイルスの抗原変異の遅さと、成人が過去の感染によって獲得している部分免疫にあります。A型(H1N1型やH3N2香港型)は頻繁に変異を繰り返すため、免疫システムが「未知の敵」として激甚な炎症反応(高熱)を引き起こします。一方、B型は抗原の型(ビクトリア系統など)が比較的安定しているため、過去の免疫が中途半端にウイルス増殖を抑え込み、結果として「高熱は出ないが、ウイルスを周囲に撒き散らしながら体調不良がダラダラ続く」という状態を生み出します。
この「隠れインフルエンザ」状態のまま出社・登校すると、基礎疾患を持つ高齢者や幼児に感染を広げ、相手を重症化させる危険性があります。熱が平熱であっても、「急に胃腸の調子が悪くなった」「身体が鉛のように重い」と感じる場合は、安易な自己判断を避けて抗原検査を受ける必要があります。