1987年、披露宴の中継視聴率が47.6%(ビデオリサーチ関東地区)を記録し、「世紀の結婚」と騒がれた二谷友里恵と郷ひろみの婚姻生活は、わずか11年後の1998年に終止符を打ちました。世間を最も震撼させたのは、離婚直後に郷ひろみが発表した告白本『ダディ』と、それに対する彼女の反論の手記『楯(たて)』の存在です。
『ダディ』では自らの不倫や女性関係、夫婦関係の破綻が赤裸々に綴られ、ミリオンセラーを記録しました。しかし、当時沈黙を守ると思われていた彼女が上梓した『楯』によって、事態は単なる芸能人の色恋沙汰から「昭和的ジェンダー観の衝突」へと様相を変えます。関係各社の取材資料や当時の手記を読み解くと、彼女が離婚を決意した核心は、単なる相手の浮気ではなく、「家庭内における一個の人間としての尊厳の欠如」にありました。
慶應義塾大学文学部を卒業し、知性と高い美意識を兼ね備えていた彼女にとって、郷ひろみが求めた「完璧なスターの妻」という役割の強要は耐え難い抑圧でした。公の場で見せる華やかな笑顔の裏で、個人の意志やキャリアが完全に封殺される環境からの脱出――それこそが、幼い2人の娘を引き取って敢行した電撃離婚の決定打となったのです。