オンラインコミュニティや投資家へのヒアリング取材を行うと、数字のシミュレーションだけでは見えてこない、心理的プレッシャーによる痛恨の失敗談が浮き彫りになります。
都内在住の30代会社員A氏の手記には、出口戦略の判断ミスが生々しく記されています。
「ビットコインが急騰した局面で舞い上がり、深夜にスマホアプリの販売所から成行で全保有分(当時約800万円相当)を一括売却してしまいました。翌朝冷静に計算すると、スプレッドだけで35万円以上引かれており、さらに出金口座の限度額制限に引っかかって即日出金もできず。何より最悪だったのは、手元に入った現金約760万円のうち、約200万円は翌年の税金として隔離しておかなければならなかったのに、住宅ローンの繰り上げ返済に全額回してしまったことです。翌年の確定申告時期に納税資金が足りず、親族に借金を申し込む羽目になりました」
行動ファイナンス理論が示す通り、人間は「利益が出ている局面ではリスクを極端に嫌い、早く利益を確定させたい(プロスペクト理論における利得局面の確実性効果)」という心理が働きます。この焦燥感が、手数料の高い販売所での早急な成行決済や、事前の税金試算を放棄した無計画な全額換金を引き起こす根本原因です。