高級焼肉を選ぶ際、多くの利用者が陥りやすいのが「A5ランク=最上級の美味しさ」という単純な刷り込みです。食肉業界の公式基準において、A5という格付けは「歩留まり(A)」と「脂肪交雑(BMS:サシの入り具合 8〜12)」を示す指標であり、肉本来の風味や香り、旨味の深さを直接保証するものではありません。
現場の肉職人の証言によれば、BMS12の極度な霜降り肉は、最初の一口には感動があるものの、コース中盤以降に胃もたれを引き起こし、特に50代以上のエグゼクティブ接待では「完食できない」というトラブルの原因になりがちです。現在、銀座のトップクラスの焼肉店がこだわっているのは、月齢30ヶ月以上の長期肥育された「黒毛和牛の処女雌牛」や、赤身の旨味が凝縮された純但馬系血統の肉です。融点が低くサラリとした脂質を持つこれらの牛肉は、胃への負担が極めて少ないのが特徴です。
「A5ランクの表記」に過剰に囚われるのではなく、「牛の性別(雌牛指定か)」「肥育日数」「赤身と霜降りのコースバランス」を提示している店舗を選ぶことが、真の失敗回避策となります。