ディズニー映画『ポカホンタス』が差別的であると批判される最大の原因は、先住民族(ネイティブアメリカン)が受けた過酷な侵略の歴史を「異文化間のロマンス」にすり替えた点にあります。作中では、イギリス人開拓民のジョン・スミスと先住民族の娘ポカホンタスが惹かれ合い、愛の力で両部族の対立を乗り越えようとする構図が描かれました。
しかし、実際の歴史において白人入植者が行ったのは文化交流ではなく、軍事力を背景とした土地の強奪と虐殺、感染症の持ち込みによる先住民族コミュニティの壊滅でした。批評家や当事者団体からは、「侵略者と被害者の非対称な力関係を隠蔽し、白人の植民地支配をロマンチックに正当化している」との厳しい声が上がりました。
劇中の楽曲表現も大きな火種となりました。開拓民側が先住民族を「野蛮人(Savages)」と連呼し、「人間ですらない獣」と歌うシーンは、作中で対立の愚かさを描く演出意図があったとはいえ、先住民族に対するステレオタイプな偏見を再生産していると激しく非難されました。