利用者が最も戸惑うのが、料金計算のメカニズムです。タクシーの場合、ドアを開けて乗り込んだ地点からメーターが作動し、走行距離と一定速度以下になった走行時間から算出される「時間距離併用運賃」が適用されます。近年はアプリ配車による事前確定運賃も普及していますが、あくまで「乗車地から降車地まで」の移動に対して課金されるのが原則です。
一方、ハイヤーの運賃計算には「車庫発着(庫出・庫入)」という極めて特殊なルールが存在します。これがハイヤー迎車料金仕組みの根幹です。ハイヤーのメーターは、乗客が車に乗り込んだ瞬間ではなく、「運行管理拠点(車庫)を出庫した瞬間」から回り始め、乗客を目的地で降ろした後、「車庫へ帰還するまで」の全行程が計算対象となります。
たとえば、東京都千代田区の車庫から港区の顧客を迎えに行き、新宿区まで送り届けて千代田区の車庫へ戻る場合、乗客が乗っていた新宿までの区間だけでなく、前後の回送区間も含めた全拘束時間が請求額の基礎となります。これが、短距離の移動でハイヤーを利用すると数万円単位の請求が発生する構造的理由です。
一般的に、ハイヤーの利用は「時間制運賃(タイムチャージ)」が基本となり、多くの事業者が「最低利用時間(ミニマムチャージ)2時間〜」といった制限を設けています。ハイヤー料金相場は1時間あたりおよそ7,000円から1万2,000円前後(車両クラスや契約内容により変動)となっており、高速道路利用料や深夜早朝割増、駐車料金などが実費として加算されます。