企業が正規の課長を任命せず、あえて「課長代行」という中間的な役職を設置・新設する背景には、日本型雇用特有の人事政策上の苦肉の策が隠されています。
1. ポスト不足とシニア・中堅層のモチベーション維持
年功序列型の賃金体系が残る大企業を中心に、課長級に達した年齢の社員数が管理職ポストの総数を大幅に上回る「ポスト不足」が慢性化しています。降格や据え置きによる社員の離職を防ぐため、社内的な格付けとして「代行」を新設し、名目上の地位を与えるケースです。
2. 人事評価における「見極め期間(トライアル登用)」
一度課長に昇進させると、日本の解雇規制や降格に関する判例法理上、簡単にポストを剥奪することが困難になります。そのため、「課長代行として1年間実務を回させ、プレイングマネージャーとしての統率力や業績達成力をクリアした者だけを本物の課長へ昇進させる」という昇進基準のフィルターとして活用する企業が増加しています。
3. 部署統合や統廃合に伴う組織の暫定措置
組織再編によって課の統廃合が行われた際、どちらの旧課長を新課長に据えるかで社内政治の軋轢が生じる場合、一時的に部長が課長を兼務し、実務責任者として中堅エースを課長代行に据えるといった防波堤的な人事配置も見受けられます。