ブルーインパルスの展示飛行ルートは、決して当日のパイロットの気まぐれで飛んでいるわけではありません。航空法規および自衛隊内規に基づき、秒単位で計算された航法計画(フライトプラン)に沿って厳密に運用されています。
飛行ルートを特定する最大のカギは、飛行の「拠点空港(基地)」と「メイン会場」を結ぶ直線軸、そして周辺空域に設定される「待機エリア(ホールドポイント)」の配置です。市街地イベントの場合、編隊はメイン会場の上空へ直行するのではなく、通常は海上や山間部など人家の少ない安全空域で高度を取り、スモークの試験噴射や編隊の組み替えを行います。そこから秒単位のタイムスケジュールに合わせ、会場進入軸へとアプローチしてきます。
注目の通過時間については、航空自衛隊公式発表資料において「11時20分頃から11時45分頃の間」といった20〜30分程度の時間枠で事前告知されるのが通例です。この枠内において、ブルーインパルスが会場上空を航過する時間は、1回あたりわずか15秒から30秒程度。旋回して再度進入するまでに約3分から5分のインターバルが生じます。
また、飛行進入方角を割り出すには、当日の地上風の向きが決定的な要素です。航空機は原則として向かい風(アップウィンド)で進入・離着陸を行う特性があるため、気象庁の局地風予測データを確認することで、「北西から進入して南東へ抜ける」「海岸側から進入して内陸へ旋回する」といったメインアプローチの軸線が浮き彫りになります。2026年の全国ツアースケジュールでも、この物理的法則は完全に共通しています。