オーブ(Orb)という言葉は、もともとラテン語の「orbis(円、球体)」を語源とし、英語で天体や宝珠、球状の物体全般を指す言葉です。フランス語の「aube(夜明け・黎明)」と混同されることもありますが、心霊写真や光学現象の文脈で語られるオーブは前者の「光の球体」を意味しています。
写真にこの光の球体が頻繁に写り込むようになった背景には、カメラの劇的な進化と小型化の歴史が深く関係しています。1990年代後半から普及したコンパクトデジタルカメラや、今日のスマートフォンカメラは、レンズとフラッシュ(LEDライト)の物理的な距離がわずか数センチメートルから数ミリメートルと極めて近い構造をしています。このレイアウトこそが、オーブ写真を大量に生み出す土壌となりました。
かつてフィルムカメラの時代には、大きな外付けストロボを使用していたため、レンズの正面至近距離にある微粒子に強い光が正面から反射することは稀でした。しかし、薄型・小型化された現代のデバイスでは、レンズの直前を漂う空気中の微粒子がフラッシュ光を浴び、それがピンボケして巨大な円形としてセンサーに焼き付けられます。スピリチュアル文化では「精霊の可視化」「霊魂の訪問」として親しまれる一方で、写真工学の現場では日常茶飯事の物理現象として扱われているのが偽らざる実態です。