衣類のポケットに紙幣を入れたまま洗濯機や乾燥機にかけてしまうトラブルは、家庭内で最も頻繁に発生する破損要因です。現在の日本銀行券は三椏(みつまた)やマニラ麻などの強靭な植物繊維で作られており、一般的な洋紙よりも水に強い特性を持っていますが、洗剤の界面活性剤や激しい水流、高温の乾燥機に晒されると繊維がほぐれ、シワや縮み、破断を引き起こします。
濡れてバラバラになりかけた洗濯で破れた紙幣の対処法には、絶対に守るべき手順があります。
第1に、濡れた状態で無理に広げようとしないことです。水を含んだ紙幣は強度が著しく低下しているため、指で引っ張るだけで簡単にちぎれてしまいます。まずはピンセットなどを用い、破片を慎重にキッチンペーパーやタオルの上に移します。
第2に、アイロンで直接熱を加えるのは避けることです。乾かそうと高温のアイロンを直接当てると、紙幣に施されている微細なホログラムや特殊インクが熱で変質・融解し、窓口での真偽鑑定で弾かれるリスクが高まります。乾燥させる際は、破片をキッチンペーパーで挟み、重し(辞書や厚手の本)を乗せて平らな状態を保ちながら、風通しの良い日陰で自然乾燥させるのが最も安全です。
バラバラになった破片が乾燥したら、破片同士をパズルのように並べてトレーやクリアファイルに収めます。この際もテープで接着するのではなく、破片が散逸しないようラップで軽く包むか、透明フィルムに挟んで窓口に提示するのが、行員が面積を計測しやすくなるプロ推奨の持ち込み方です。