この呼称の違いを正しく捉えるには、日本の裁判制度における2大領域である「民事裁判」と「刑事裁判」の仕組みを対比させる必要があります。司法統計によると、日本国内で1年間に提起される民事・行政訴訟の第一審件数は約13万件前後に達し、私人間の多種多様な紛争が日々争われています。
民事裁判は私人同士の権利義務関係を調整し、被害救済や金銭の解決を図る場です。一方、刑事裁判は国家が刑罰権を行使し、社会秩序を維持するために有罪か無罪か、そして量刑をいくらにするかを判断する手続きです。
民事裁判においては、訴訟を提起した側を「原告」、提起された相手方を「被告」と称します。ここでは双方が対等な立場で互いの主張をぶつけ合います。一方、刑事裁判においては、起訴を行う権限を独占する国家機関である検察官と、弁護人に支えられた「被告人」が対峙します。この構造上の違いが、そのまま「被告」と「被告人」という語句の違いに直結しています。