現場取材班が第3ターミナルの出発フロア(3階)で目撃したのは、航空会社のグランドスタッフに向かって泣き出しそうな表情で航空券を差し出す旅行者の姿でした。その多くが口にするのは「国際線ターミナルに着いたのに、なぜ自分の乗る便がないのか」という絶望の叫びです。
原因の筆頭に挙げられるのが、国際線の「2ターミナル分散運用」です。かつて羽田の国際線はすべて旧国際線ターミナル(現在の第3ターミナル)に集約されていました。しかし国際線需要の拡大に対応するため、第2ターミナルにも国際線対応施設が整備され、ANAを中心とする一部の国際線が第2ターミナルから発着する体制が定着しています。JALや外資系航空会社は依然として第3ターミナル発着が主体ですが、ANAの国際線を利用する旅行者が「国際線だから第3」と反射的に移動してしまい、チェックイン締切直前に第2ターミナル発着であることを知らされるトラブルが日常的に発生しています。
心理学でいう「認知的トンネリング(時間的切迫による視野狭窄)」もこのパニックに拍車をかけます。旅行者は「空港に到着した」という事実で一瞬安堵し、電光掲示板の案内確認を後回しにしがちです。さらに、羽田空港第3ターミナルに乗り入れる主要な国際線航空会社の割り振りを把握していないと、誤ったターミナルに足を踏み入れた時点で数十万〜百万円規模の航空券買い直しリスクに直面します。