会計検査院の検査官は、単に送られてきた決算書類の数字を突き合わせているだけではありません。国の予算が投じられている現場へ直接出向く「実地検査」を年間を通じて全国で展開しています。
各省庁本省はもちろん、全国の地方出先機関、地方自治体(国庫補助金事業)、独立行政法人、さらには国の出資比率が2分の1以上の特殊法人や防衛装備品の納入企業に至るまで、検査対象は網羅的です。検査官には会計検査院法第26条に基づき、以下の極めて強い調査権能が保障されています。
第一に、関係機関に対する帳簿・書類・物件の提出要求権です。提出を拒んだり虚偽の記録を提出したりした場合、法令に基づく罰則規定が適用されます。第二に、現地への直接立ち入りと実物確認です。例えば防衛装備品の保管状況、高速道路やトンネルの補修工事現場、ITシステムのサーバールームなどを自らの目で確かめ、設計図面や契約仕様書通りの品質・数量が確保されているかを徹底検証します。
毎年度秋に内閣へ提出され、一般に公表される「決算検査報告」は、まさにその集大成です。2026年最新の検査活動においても、巨額の国費が投じられた官民ファンドの累積損失、コロナ禍以降に積み上がった各種基金の長期滞留・過大支出、デジタル庁主導の基幹システム刷新における二重発注や稼働遅延など、国民の関心が高いテーマが集中的に追及されています。指摘総額は毎年数千億円規模に達し、国の財政規律を正す最大の防波堤として機能しています。