中村玉緒さんの人生を語る上で欠かせないのが、1962年に結婚した昭和の大スター・勝新太郎さんとの波乱万丈な夫婦生活です。
「勝プロダクション」の倒産による約14億円とも言われる巨額の借金、度重なるトラブルやスキャンダルに見舞われながらも、玉緒さんは決して夫を見捨てませんでした。1997年に勝さんが下咽頭がんで他界するまで献身的に尽くし、夫の亡き後はバラエティ番組で明るく振る舞いながら、自らの力で借金を完済した姿は日本中の共感と尊敬を集めました。
しかし、家庭内における苦悩は晩年まで続きました。長男・鴈龍さんは1989年の映画撮影中の事故などを経て芸能界を実質引退。親子の距離感が微妙になる中での2019年の急逝は、玉緒さんに癒えない傷を残しました。また、長女である奥村真粧美(まさみ)さんとは、個人事務所の運営や生活方針を巡って一時的に意見の食い違いが生じ、精神的な距離が空いた時期もあったと報じられています。
昭和から平成の芸能界に特有の「家族でプロダクションを運営する難しさ」や、大スターの看板を背負うプレッシャーが親子の間に複雑な影を落としていたことは否めません。しかし、現在の施設入所にあたっては親族や信頼できる後見人による手続きが進められ、一定の境界線を保ちながら見守られる体制が整えられています。