単行本第20巻のクライマックスにおいて、読者が最も固唾をのんで見守ったのは「コウとナズナは結ばれて恋人になるのか、それとも別れを選ぶのか」という一点でした。作中で明かされた過酷な吸血鬼のルール――「人間を愛した吸血鬼がその人間の血を吸うと、吸血鬼自身が死ぬ(人間化の過程で命を落とす)」という絶対的な制約が、二人の前に重く立ちはだかっていたためです。
結論から言えば、二人は形式的な「恋人」という枠組みを超越し、互いの命と自由を守りながら一生関わり続ける「永遠の鬼ごっこ(かくれんぼ)」という独自の道を選択しました。物語の最終盤からエピローグに至る展開の要点は以下の通りです。
- ナズナの失踪と葛藤:コウへの想いを自覚したナズナは、コウの血を吸って自分が死ぬこと、あるいはコウの人間としての将来を奪ってしまうことを恐れ、コウの前から姿を消す。
- 3年の歳月とコウの成長:ナズナが去った後、コウは学校へ復帰して高校へ進学。探偵・鶯アンコのもとで探偵見習いとして働きながら、吸血鬼や夜の調査を続け、ナズナを探し続ける。
- 雪山での再会と告白:3年後、雪深い北海道の地でコウはついにナズナを発見。ナズナは逃げようとするものの、身体能力を活かしたコウに捕まる。
- 二人の誓い:ナズナは「私はずっとお前が好きだ。だから血は吸えない」と告げるが、コウは「たまになら吸っても死なないかもしれないし、死んだらその時はその時だ」と笑って返す。互いに「捕まえたら血を吸う」「逃げ切ったら吸わせない」というかくれんぼを一生続けることを誓い合い、物語は幕を閉じる。
定型的な結婚や同棲といったハッピーエンドではなく、「夜と昼」「人間と吸血鬼」の境界線に立ち続ける二人らしい軽やかで切ないフィナーレは、連載完結時にSNSや各種レビューサイトでも大きな称賛を集めました。