コストパフォーマンスの高さが絶賛される一方で、制度の運用次第では予期せぬ落とし穴が生じるケースも報告されています。象徴的だったのが、東洋経済オンラインなどの報道でも大きな話題を呼んださいたま市立大宮北高校の事例です。
同校は生徒の経済的負担軽減や多様性を尊重する目的で、従来の指定制服に加えてユニクロ製品を「公式制服の選択肢」として正式に導入しました。ところが導入初年度、一部の家庭から「かえって購入費用が上がってしまった」という想定外の声が上がったのです。その理由は、従来の指定制服を「正装用」として購入した上で、「普段の通学用」としてユニクロ製品も一式買い足す家庭が続出したためでした。「入学式や冠婚葬祭で周りと違ったら浮いてしまうのではないか」という同調圧力や心理的葛藤が働き、結果的に2種類の制服を二重購入する事態が生じたのです。これはユニクロ制服の賛否の真相を象徴する出来事であり、選択制を導入する教育現場が直面する運用の難しさを示しています。
さらに、製品そのものの特性に起因するユニクロ制服のデメリットも見逃せません。第一に挙げられるのが「3年間の耐久性」です。伝統的な学生服メーカーが仕立てるウールや高密度ギャバジン素材は、3年間毎日酷使しても破れにくい驚異的な耐久性を誇ります。一方、ユニクロの軽量スラックスやジャケットは、自転車通学でのサドル摩擦やコンクリートへの接触により、擦れやテカリ、生地の引きつれ(ピリング)が比較的早期に発生しやすい傾向があります。安価に買い替えられるとはいえ、3年間で2〜3回買い直せばトータルコストの差は縮まります。
第二の盲点は「廃番・仕様変更リスク」です。アパレルSPAであるユニクロは、シーズンごとにシルエットやボタンの仕様、カラー展開(ネイビーやグレーの色味の微差)をトレンドに合わせてアップデートします。そのため、「兄のお下がりを弟に着せようとしたら同じ型番が店舗にない」「追加で購入したスラックスだけ微妙に色合いが異なる」といった事態が起こり得ます。長期間の同一規格供給を前提とする学校指定服の常識とは異なるサイクルの速さに、現場がどう適応するかが問われています。