『魔物』を紐解く上で最大の鍵となるのが、歌詞の節々に現れる「猫」の存在です。ファンの間でも「猫=主人公を惑わす相手」「猫=主人公自身の内なる化身」「猫=客観的な傍観者」といった多様な仮説が飛び交っています。
映像ディレクターの手腕が光るMVの演出を細部まで検証すると、影のように寄り添う黒猫の視線と、主人公が自己を見失っていくプロセスが精緻にリンクしていることが確認できます。猫が持つ「気まぐれに近寄り、満足すれば去っていく」という行動様式は、都合のいい関係性に縛られる人間の心理的弱点そのものです。すなわち、相手に振り回されながらも離れられない歪んだ恋愛感情や、自制心を失わせる執着の対象こそが、本作における「魔物」であり、その象徴として「猫」が配置されていると解釈できます。