ピトーの物語は、恩師カイトの命を奪われた主人公ゴンの復讐劇と表裏一体です。物語序盤、NGLに潜入したカイトの片腕を一瞬で切断し、命を奪ったカイト戦の結末は、ゴンに拭い去れない深い絶望と怒りを植え付けました。生首を抱えて微笑むピトーの無邪気な残虐性は、読者に強烈なトラウマを与えました。
しかし、宮殿突入作戦においてコムギの手術を行っていたピトーは、以前の残忍な怪物ではなく、ただひたすらに少女の命を救おうとする「弱者」の姿を見せます。怒り狂うゴンと対峙した際、腕を折られても無抵抗を貫き頭を下げて懇願する姿は、二人の力関係と道徳的立場が完全に逆転した瞬間でした。
ペイジン(東ゴルトー共和国)の兵隊蟻育成工場へ移動後、カイトを元に戻せない事実を告げたことで、ゴンは自らの命、才能、未来のすべてを投げ打つ「制約と誓約」を結び、肉体を急激に成長させた姿(通称・ゴンさん)へと覚醒します。圧倒的な力量差の前にピトーはなす術もなく頭部を粉砕され敗北。しかし、死の瞬間すら「よかった…倒されるのがボクで…王(あいつ)じゃなくて…」と安堵し、死後に強まる念によって黒子無想を発動させてゴンの右腕を奪うなど、最後の最後まで護衛軍としての凄まじい意地を見せつけました。