離婚にあたって最も世間の関心を集めたのが、長男・片岡千之助の親権と養育環境でした。歌舞伎の家に生まれた男子は、幼少期から芸の継承という宿命を背負っています。
千之助は4歳で初舞台を踏んでおり、将来の松嶋屋を担う後継者としてすでに歩み始めていました。そのため、離婚に際して実質的な親権および養育は父親である片岡孝太郎側が持つ形となり、祖父である十五代目片岡仁左衛門夫妻の手厚い見守りのもとで大切に育てられました。
親権が父親側にあるからといって、実の母親である博子さんとの関係が完全に断絶したわけではありません。千之助の成長過程においては母方の愛情も注がれつつ、舞台人としての厳しい稽古と教育は片岡家総出でバックアップするという体制が取られました。現在、若手花形として目覚ましい成長を遂げている千之助の堂々たる佇まいは、こうした複雑な環境を乗り越えて培われた精神力と家族の結束の賜物です。