庭先や水辺、あるいは自宅の玄関先で見かけた際、瞬時に正体を特定するにはどこに注目すべきでしょうか。結論から言えば、「皮膚の質感」「前足の指の数」「爪と吸盤の有無」の3点を確認すれば、生物の知識がなくても数秒で判別が可能です。
まず根本的な生物学的分類として、イモリはカエルやサンショウウオの仲間である「両生類」です。これに対し、ヤモリとトカゲはカメやヘビの仲間である「爬虫類」に分類されます。この分類の違いは、身体の表面に色濃く表れています。
イモリの皮膚はウロコがなく、常に粘液でしっとりと湿っています。乾燥に極めて弱いため、水のない場所で長時間生きることはできません。一方、爬虫類であるヤモリとトカゲは、体内から水分が蒸発するのを防ぐために硬い「ウロコ(鱗)」で全身が覆われており、手触りは乾いています。
さらに決定的な肉眼的特徴が「足の指」です。野外で捕獲した際や、ガラス越しに足の裏を観察できる場合、指の本数を数えてみてください。イモリの前足の指は4本しかありません(後足は5本)。対して、ヤモリとトカゲの指は前足・後足ともに5本揃っています。この「前足の指が4本か5本か」という差異は、両生類と爬虫類の骨格進化における決定的な分水嶺です。
また、垂直な壁やガラス窓を登れるかどうかも重要な手がかりです。民家の窓ガラスや外壁に張り付いて獲物を待っている個体は、ほぼ100%ヤモリです。ヤモリの足裏には特殊な滑り止め構造が存在しますが、トカゲやイモリにはそれが備わっていないため、ツルツルとした垂直面を自由に歩き回ることは構造上不可能です。